今日知った石井桃子さんに送る下書き

「さかなはちょっとおなかが、ぺこぺこで」。石井桃子さんが翻訳した童話の中にこんなくだりがあるのを、二十五才も年下の作家今江祥智さんが見つけた。」「ぺこぺこ」というのはすごく空腹のことだから「ちょっとぺこぺこ」は変だ、と文句をつけてみた。「そういえばそうだわね」。石井さんはすぐに改訳し「ちょっと」を削った。「普通そんなことを若造が言ったら、笑って流してしまうものなのに」と雑誌「ユリイカ」で今江さんが語っている。二日に百一歳で死去した石井さんは、言葉一つをおろそかにせず、児童文学の世界に一歩一歩足跡を刻んでいった。

俺は、「さかなはちょっとおなかがぺこぺこで」から思い浮かべるイメージの方が好きだなぁ。
多分、原文は「the fish felt little hungry」とか書いてあって、子供向けの本だから、「空腹感を感じた」は使えないし、「ぺこぺこ」みたいな擬音語を使用したい要求があったんだろう。
でも、同時にこれは、原文の自訳「小腹が空いた」と言うニュアンスから想像される、単なる空腹感を満たす行為ではなく"徒然なるままに"食事を楽しむ余裕を持った心持ちと言う印象を失ってしまう行為でもあるんじゃないだろうか? だから、私は「小腹が空いた」が一番しっくりくるし、「ちょっとぺこぺこ」の方がよりしっくりくるなぁ。

と感じた人は、ちょっとぺこぺこありでしょう?と言って怒られる訳です。